留学をする前に考えるべきこと

留学を受け入れる仕事をしている関係もあり、留学前の学生とコミュニケーションをとることが多々あります。これから留学をスタートする人たちであるため、学校の詳細や基本的な質問だけではなく、留学をする上でのアドバイスを求められることも多々あります。このような場合、より細やかなアドバイスができるよう、留学の動機や目的を細かく深くヒアリングするようにしています。

そういった学生とのコミュニケーションの中で特に感じるのは、留学に対して「偏った知識・考え」を持っている人が少なくないということ。おそらくですが、インターネット上の情報が増えたことにより、ある特定部分の情報が偏って露出していることも関係していると思います。今回の記事では、学校スタッフの目線から「留学をする前に考えて欲しいこと」について書こうと思います。長文記事ですが、お時間があればお付き合いください。

  1. はじめに
  2. 留学でなければならない理由を考え
  3. 留学をすることによって失うものを考える
  4. 留学後のキャリアプランを考える
  5. 知識・スキルの習得を第一にした目標設定をする
  6. 留学生の現状を考える
  7. おわりに

1.はじめに

外国の友達を作りたい、旅行で困らないようにしたい、世界を飛び回って色々なことを経験したい…など、海外への憧れから留学を考える人は多いと思います。これは悪いことではありませんが、旅行の延長上で海外に出てしまうと、多くの苦労をします。勢いも大切ですが、留学を決断する前に今一度この記事で取り上げるポイントについて考えていただけたら嬉しいです。

ちなみに、留学は以下のタイプに分類できます。フィリピン留学は語学留学に該当します。ちなみに、近年のフィリピンは、二カ国留学の第一ステップとしても注目を浴びています。(例えば「フィリピン留学+本留学」「フィリピン留学+ワーキンングホリデー」等)



  • 正規留学(高校・大学・大学院)
  • 語学留学(語学学校)
  • キャリアアップ留学(就労経験・専門学校)
  • ワーキングホリデー(※)

※ワーキングホリデーは制度の名称なので、この留学テゴリに入れて良いのかは悩むところですが、何かしら学校へ通う人が大半なので一応含めました。(ワーキングホリデーは「海外に暮らす経験」を目的にして作られた制度です。時に、一つの留学の形として扱われますが、「学び」に特化したジャンルではありませんので、今回の記事では深く触れません。

留学でなければならない理由を考える


第一に、その留学でならない理由を深く考えて欲しく思います。お金さえあれば、なんとなく留学をすることもできますが、私は勿体無く感じます。留学に何を求めているか、という切り口から考え初めても良いと思います。単に英語の習得だけを目的とするならば、日本でもできなくありません。



確かに英語が母国語として使用されている国々やフィリピン・フィジー等の英語塾の環境で英語を学んだ方が、実用的な英語にのみ限定して言えば手っ取り早いかもしれません。その人の器量や努力によりますが、日本で学ぶよりも遥かに早く言語の習得ができると思います。ただし、学びが早いとは言え、数ヶ月学んだ程度では耳慣らし程度にしかなりません。



今一度、英語「以外」の目的についても考えて欲しいと思います。「とりあえず英語だけやっておけば」という考えは、海外では通用しません。例えば、英語の先生になるには、英語力に加えて講師としての力が必要です。教員免許を手にいれる必要もあります。通訳・翻訳になるには、高度な英語力は勿論のこと、通訳・翻訳における特別な技術が必要です。分野によっては、法律/医学/工学等の専門知識が必要を求められたり、論理的な思考が要求される場合もあります。そう、社会で英語プラスαが必要とされるのは明らかです。(世の中にはビジネス英語レベルで英語が使える人は分野を問わず山のようにいます。英語が話せるだけでしっかりとした職に就くことができるとは思いません)

海外大学進学にしても同様、事前にしっかりと目標を立てておくことをお勧めします。留学を通して「何を成し遂げたいか」は、留学前に明確にして欲しいと思います。

フィリピン留学に関して言えば、次の進路を見据えた上で「語学習得だけに集中する場」として活用して欲しいと願っています。あまり公にはなりませんが、フィリピン留学における学生の平均滞在期間は約8週です。朝から晩まで英語漬けで8週間みっちり勉強をして、どのレベルになるかはその人次第です。中には時頭の良さもあり驚くような成長をする学生もいますが、これはレアケースです。一般的な例では、ほぼ初めて英会話を学ぶ方の場合、8週間しっかりと勉強して到達できるレベルは「英語に少し慣れた程度」です。話し相手がゆっくり、くっきり、簡単な単語だけを使い、十分な思いやりを持って話してくれれば、なんとか日常生活のコミュニケーションが取れる程度です。これは脅しではなく現実です。これが16週になっても、一回り二回り聞き取れる言葉や理解が増すだけで、まだまだ海外大学やビジネスレベルで通用する域には達しません。誰もが通る成長過程ですが、今一度考え直して留学プランを見直して欲しいと思います。



脅かす形で書いてしまいましたが、挑戦をしなければ何も始まりません。海外の何かに魅力を感じるのであれば、大変なことは山ほどありますが、是非挑戦をして欲しいと思います。


留学後のキャリアプランを考える


前の項目に通じるところがありますが、留学で大切なのは留学後の進路です。留学は「学びの過程」であり、それ自体がゴールではありません。最初から全てを考えろというのも無理な話ですが、考えておくことによって損なことは何一つありません。強いて言えば、留学の決心が鈍る人もいるということくらいでしょうか(笑)


語学留学や正規留学の綿密な留学プランは持っている方でも、意外と留学後のキャリアプランを軽視している方を多く感じます。留学は、留学で得た知識・スキルを生かして就につくための方法です。最低限、留学を悩んだとの同じくらい、留学後のプランについても悩んで欲しく思います。勉強だけをして、全然関連の無い業種に就くのは非常に勿体無いです。その留学が成功かどうかは、留学後にしっかりとした職に就くことかできたかどうかと言っても過言ではないと思います。

留学経験者や留学カウンセラーと話す機会があれば、学校紹介や留学計画だけに留まらず、その後のキャリアプランについても話を聞いて欲しいと思います。ちなみに、留学をして海外に関連する仕事につく人は多くいますが、実際に海外で就労経験を持つ人はごく少数です。インターネットで調べると、山のように海外留学の体験談はヒットしますが、就労談が出てきませんよね。(経験人口が少ないだけではなく、海外就職には留学生の夢を壊すようなことがあるから記事が出回っていないのかもしれませんね…笑)

いずれによ、留学後を見据えて留学計画を立てて欲しいと思います。


留学をすることによって失うものを考える


留学に関しては、メリット先行で考える人が多くいます。というか、デメリットは蓋をして考えないようにしているという表現の方が正しいかもしれません。正しく情報のバランスをとって欲しいので、ここでは敢えてデメリットについて書きます。

まず、今一度「留学 デメリット」のキーワードで各自検索をしてみてください。ご存知と思いますが、めちゃくちゃ出てきます(笑)全て鵜呑みにする必要はありませんが、しっかりと一通り考えて欲しいと思います。私個人の考えですが、日本で良い水準の暮らしをする前提で考えたら、ぶっちゃけデメリットの方が大きいと思います。また日本に戻った際、順応できないというリスクもありますからね。

デメリットとして真っ先に浮かぶのは「お金」「時間」「日本人としてのアイデンティティ」等の点だと思います。これは容易に想像できると思います。この他には、本来日本でできるはずの経験ができなくなってしまうことがあります。「機会損失」とでも言いましょうか。高校留学なら、高校生という感性が豊かな時期がごっそりと抜け落ちてしまいます。(その分、海外で経験もできます。その経験が良いか悪いかは結局本人次第です) 社会人が脱サラをして留学する場合にしても同様、「職」という社会人としての生命線を失います。留学中は収入が見込めないので、留学後に必死に取り返す必要があります(笑)

留学は諸刃の剣であることを、今一度考えていただけたらと思います。

知識・スキルの習得を第一にした目標設定をする


英語が話せるだけでは不十分ですが、特定の業種・業務で英語が強みになるのは事実です。留学中にしっかりと身につけた英語であれば、必ず業務に生きるでしょう。但し、

英語はあくまでツールの一つであり、絶対的な武器にはなりません。今一度、留学の動機やキャリアプランから掘り下げて、最終的な目標達成のために、英語力の他に「どのような知識・スキル」が必要かを考えて欲しい思います。これがはっきりすれば、習得にかかる時間・お金を割り出すことができるので、留学プランもより具体的になります。



単体の語学留学を否定しているわけではありません。英語力向上がキャリアアップの近道であるなら、集中的に英語を学ぶことができる語学留学は良い手段だと思います。ただ、英語習得に特化していない留学は、どうしても観光色が強くなってしまいます。(ホリデーラーニングが悪いことだとは思いませんが、それだったら留学期間と旅行期間をしっかり区別した方が良いのでは?と思ってしまいます。どちらも中途半端になってしまうので…せっかく来たんだから「遊びも」ではなく、せっかく来たんだから「学びだけ」と考える語学留学生が増えることを切に願っています…)

留学生の現状を考える



学校で働く人間として、生の声も聞いて欲しいというのが本音です。現在は、留学エージェント、情報発信サイト、と様々な情報収集のツールがあり、数年前に比べて個人でも格段に調べやすくなっています。同時に情報が溢れかえり、正しい情報を見極めることが難しくなったとも感じます。(日々、学校への問い合わせの内容や質にも変化を感じています)


もちろん、上に示した情報も大切ですが、実際に留学経験をした人から直接話を聞いて、情報を得て欲しいと思います。インターネット上には留学経験者の体験談や口コミが山のようにありますが、書いている人のディテールにまでに拘る人はあまりいないと思います。(良い意味でも悪い意味でも)立派な文章を書いている人でも、話してみるとアレ?と思うことは結構あります。留学生はそのほとんどが一見さんなので、留学生から生まれるコンテンツはあくまで主観です。主観に基づいた情報同士を見比べても、本当の意味での学校比較はできません。もちろん、その情報にも質の高いものはあります。情報をうまく精査して、正確な情報収集をして欲しいと思います。

おわりに

フィリピン留学であれ、どんな留学であれ本質は同じです。留学は学ぶためにあり、その最終的なゴールは留学後のキャリア形成です。冒頭にも書きましたが、なんとなく留学は非常に危険です。留学前にすべきこと、留学中にすべきこと、留学後にしたいこと、この三点をしっかりと考え抜いて留学を決心していただけたら嬉しく思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました!
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